2023年10月にインボイス制度が始まり、登録番号の確認や消費税の計算など、経理・税務担当者の業務負担は増え続けています。その中で、毎月・毎期の税務申告と納付の手続きも大きな負担の一つです。
税務署へ書類を持参・郵送し、納付書を持って金融機関の窓口に並ぶ。こうした手続きは、e-Tax(イータックス)を使えば、申告から納付までオンラインで完結させることができます。
今回は「税務担当者向けに税務書類を電子納付するメリット」をテーマに、e-Taxの概要から、ペイジー納付とダイレクト納付の違い、実務でつまずきやすいポイントまで、2026年9月時点の国税庁の案内をもとに解説します。
毎月の源泉所得税の納付だけでも電子化すると、銀行の窓口に行く手間がなくなって驚くほど楽になりますよ。
- e-Taxの概要と利用するメリット
- ペイジー納付とダイレクト納付の違いと手順
- 電子納付でよくあるミスと対策
- 税務手続きをスムーズに進めるコツ
e-Taxとは


e-Tax(国税電子申告・納税システム)とは、インターネットを利用して国税の申告や納税などの手続きができる国税庁のオンラインサービスです。税務署へ書類を持参したり郵送したりしなくても、オフィスからオンラインで手続きできます。
e-Taxでできること
- 法人税・消費税・源泉所得税などの申告書や届出書の電子提出
- 電子納税(ダイレクト納付、インターネットバンキング等からの納付)
- 送信した申告データや税務署からのお知らせの確認(メッセージボックス)
利用開始に必要な準備
e-Taxを使うには、事前に利用開始の手続きをして利用者識別番号を取得します。申告書の送信には原則として電子証明書が必要ですが、国税庁の案内では、所得税徴収高計算書と納付情報登録依頼の送信だけなら電子証明書は不要とされています。
利用者識別番号は社内の複数人で共有するものなので、管理台帳に記録して保管場所を決めておくと引き継ぎで困りません。
e-Taxを利用するメリット


税務書類のペーパーレス化
e-Taxを使えば、紙の申告書を印刷・郵送・保管する手間が省けます。送信した申告データは電子で残るため、過去の申告内容を探すのも簡単です。
なお、事業年度開始の時の資本金の額等が1億円を超える法人などの大法人は、2020年4月1日以後に開始する事業年度から、法人税・地方法人税・消費税等の電子申告が義務化されています。法人住民税・法人事業税も、地方税のeLTAXによる電子申告が義務化されています(出典:e-Tax 大法人の電子申告の義務化について)。


電子納税で金融機関に行かなくてよい
電子申告とあわせて電子納税を使えば、税務署や金融機関へ足を運ぶ必要がなくなります。国税庁によると、ダイレクト納付やインターネットバンキング等からの納付の手数料は不要です(インターネットバンキング等の利用に金融機関の手数料がかかる場合はあります)。
月末や10日前後の銀行窓口は混みがちなので、移動と待ち時間がなくなるだけでも担当者の負担はかなり軽くなります。
PC操作で申告から納付まで完結
e-Taxソフト(WEB版)を使えば、ブラウザから申告データの作成・送信や納付の手続きができます。毎月の給与支払いに伴う源泉所得税の納付も、所得税徴収高計算書の送信から納付までPC上で完結させられます。
経理部門全体のペーパーレス化とあわせて進めると、申告データや納付の記録も含めて社内の書類を電子で一元管理しやすくなります。


PCで完結させるメリット
- 窓口の営業時間に縛られず手続きできる
- 送信・納付の記録が画面上に残り、確認しやすい
- テレワーク中の担当者でも対応できる
税務書類を電子納付する方法


e-Taxを使った電子納付の方法は、大きく分けて次の2種類です。
| 比較項目 | ペイジー納付(インターネットバンキング等) | ダイレクト納付 | |
|---|---|---|---|
| 事前の届出 | 不要(インターネットバンキング等の口座は必要) | 税務署への届出が必要 | |
| 納付のタイミング | 自分で手続きしたとき | 即時または指定した期日 | |
| 納付の操作 | 金融機関の画面で番号を入力 | e-Tax上のクリック操作 | |
| 手数料 | 不要(金融機関側の手数料がかかる場合あり) | 不要 |
ペイジー納付
ペイジー(Pay-easy)に対応した金融機関のインターネットバンキングやATMから国税を納付する方法です。e-Taxで納付情報を登録して番号を取得する「登録方式」と、事前登録なしで直接納付する「入力方式」があり、入力方式は法人税・消費税・申告所得税など一部の税目に限られます。
申告データや納付情報登録依頼を送信し、受け付けられたことを確認します。
メッセージボックスに届く通知で、収納機関番号・納付番号・確認番号・納付区分番号を確認します。
金融機関の税金・料金払込み(ペイジー)のメニューから番号を入力し、納付額を確認します。
手続き完了後の画面や取引履歴を保存しておきます。領収証書は発行されません。
納付番号などの4つの番号は入力ミスが起きやすいので、コピー&ペーストで入力するのが安全です。
ダイレクト納付
事前に税務署へ届出をした預貯金口座から、e-Tax上の操作で即時または指定した期日に引き落として納付する方法です。一度準備すれば、毎回の番号入力が不要になります。
法人は「国税ダイレクト方式電子納税依頼書兼国税ダイレクト方式電子納税届出書」を、利用したい日のおおむね1か月前までに書面で提出します(個人はオンライン提出も可能)。
税務署と金融機関での登録が完了すると、e-Taxのメッセージボックスに登録完了のメッセージが届きます。
申告データ等の送信後、「今すぐ納付」か「納付日を指定」を選びます。申告時に「自動ダイレクト」を選ぶと、法定納期限に自動で引き落とされます。
ダイレクト納付を利用していれば、確定申告で納付が見込まれる税額を課税期間中に分けて納める「予納」も、e-Taxソフト(WEB版)から登録できます。
ダイレクト納付の注意点
届出書は書面での提出が必要な場合があり、利用開始までには時間がかかります。決算や納期限の直前に慌てないよう、余裕をもって準備を始めましょう。
電子納付でよくあるミスと対策


納期限当日に申告して期日指定ができない
e-Taxの案内では、納期限当日に申告等データを送信した場合、納付日を指定したダイレクト納付はできません。当日は即時納付を選ぶ必要があるため、申告は余裕をもって済ませておきましょう。
社内の締めスケジュールに「申告送信日」を納期限の数日前で設定しておくと、当日の慌ただしさを避けられます。
残高不足で引き落とされていない
残高不足などで引き落としができなかった場合は、メッセージボックスに「ダイレクト納付エラー通知」が届きます。気づかずに納期限を過ぎると延滞税がかかる場合があるため、引落日の前日までに残高を確認し、完了通知が届いているかを必ず確かめましょう。
通知を受け取るメールアドレスが個人のもの
e-Taxからのお知らせを担当者個人のメールアドレスで受け取っていると、異動や休暇のときに通知を見落とします。部署の共有アドレスを登録し、複数人でメッセージボックスを確認できる体制にしておくと安心です。
経理実務で押さえたいチェックリスト
電子納付の実務チェックリスト
- 納付日と引落口座を資金繰り表に反映している
- 「ダイレクト納付完了通知」を納付の証憑として保存している
- 引落日を確認して、租税公課や預り金の支払仕訳を計上している
- 担当者が不在でも手続きできるよう、手順をマニュアル化している
領収証書が出ないので、完了通知の保存ルールを決めておくのが大事です。監査で納付の事実を聞かれたときにすぐ出せますよ。
電子納付のよくある質問


Q. 電子納付で領収証書はもらえますか?
A. 発行されません。納付が完了するとe-Taxのメッセージボックスに完了通知が届きます。領収証書が必要な場合は、金融機関や税務署の窓口で納付します。
Q. 税務署から納付書は送られてきますか?
A. 国税庁の案内では、申告書の提出後に税務署から納付書が送付されることはないとされています。電子納付に切り替えておくと、納付書の手配に困ることもありません。
Q. 税理士に納付手続きを任せられますか?
A. ダイレクト納付は、税理士が納税者に代わって手続きできます。その場合は、事前に納税者本人の納税用確認番号等の登録が必要です。
まとめ
今回は、税務担当者向けにe-Taxを活用した電子納付のメリットと具体的な手順について解説しました。
- e-Taxなら申告から納付までオンラインで完結し、税務書類のペーパーレス化が進む
- 源泉所得税の納付は電子証明書がなくても始められる
- ペイジー納付は事前届出が不要、ダイレクト納付は期日指定や自動ダイレクトが使える
- 納期限当日の期日指定不可や残高不足エラーに注意し、完了通知を保存する
電子納税の第一歩としては、毎月発生する「源泉所得税の電子納付」から始めるのがおすすめです。慣れてきたら法人税・消費税にも広げ、税務手続き全体の効率化を図りましょう。
税務手続きの電子化は、経理DXの中でも効果が見えやすい分野です。できるところから一つずつ切り替えていきましょう。




