電子帳簿保存法の用語をわかりやすく解説|スキャナ保存・タイムスタンプ

コロナ禍をきっかけにリモートワークが広がり、これまで紙で管理していた書類の電子化が一気に進みました。それに合わせるように、かつては厳格だった「電子帳簿保存法」も改正で要件が大きく緩和され、大企業だけでなく中小企業や個人事業者でも利用しやすくなっています。

ただ、電子帳簿保存法には「国税関係書類」「電磁的記録」「タイムスタンプ」など、ふだん聞き慣れない用語がたくさん出てきます。

  • 名前は聞くけれど、電子帳簿保存法ってそもそも何?
  • 対象になる書類はどこまで電子化していいの?
  • 要件が多すぎて、何を準備すればいいか不安…

そんな疑問を持つ方に向けて、この記事では電子帳簿保存法で押さえておきたい用語を、2026年9月時点の制度にあわせてわかりやすく解説します。

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用語の意味がわかると、国税庁の資料やシステム会社の説明が一気に読みやすくなります。制度の全体像をつかむつもりで読んでみてください。

この記事でわかること
  • 電子帳簿保存法の正式名称と3つの保存区分
  • 国税関係帳簿・国税関係書類の違い
  • 電磁的記録・スキャナ保存・タイムスタンプの意味
  • 電子取引データの保存要件と最近の改正で出てきた用語
目次

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは?(電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引)の図解

電子帳簿保存法の正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」です。

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ポイントは、法律で保存が義務づけられている帳簿・書類を、紙ではなく電子データで保存してもよいというルールを定めた点です。

以前はすべて紙の原本を保管する必要があり、保管スペースや管理コストが大きな負担でした。2022年1月施行の改正(令和3年度税制改正)で税務署長の事前承認が不要になるなど要件が大きく緩和され、中小企業でも導入しやすくなりました。

3つの保存区分

区分内容対応
電子帳簿等保存会計ソフト等で作成した帳簿・書類を電子データのまま保存希望者のみ
スキャナ保存紙で受け取った書類をスキャンや撮影で電子化して保存希望者のみ
電子取引データ保存メールやWebでやりとりした取引データを電子のまま保存法人・個人事業者は対応が必要
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3つの区分のうち、すべての事業者が対応しなければならないのは電子取引データ保存だけです。まずはここから押さえましょう。

改正の背景

  • リモートワークの普及で、紙の書類を扱いにくくなった
  • デジタル庁の設置など、国全体でデジタル化を後押ししている
  • 倉庫代や人件費の上昇で、保管コストを減らしたいニーズが高まった

電子取引データの電子保存は、宥恕措置が2023年12月31日で終わり、2024年1月からは電子データのまま保存することが必要になっています。

電子帳簿保存法に対応したソフトの認証制度は、JIIMA(日本文書情報マネジメント協会)のホームページで確認できます。

電子帳簿保存法の対象となる国税関係帳簿と国税関係書類

国税関係帳簿と請求書などの書類

電子帳簿保存法の対象は、大きく「国税関係帳簿」と「国税関係書類」の2つです。

区分定義具体例
国税関係帳簿国税に関する法律で備付け・保存が義務づけられた帳簿仕訳帳、総勘定元帳、補助簿(売掛帳、買掛帳、現金出納帳など)
国税関係書類帳簿の記載の根拠となる書類や決算関係書類請求書、領収書、契約書、見積書、納品書、貸借対照表など

電子帳簿として保存できる帳簿

帳簿を電子データのまま保存できるのは、会計ソフトなどで最初から一貫してパソコン等で作成している帳簿です。手書きで作った帳簿や、途中まで紙で作成していた帳簿は、電子帳簿等保存の対象になりません。紙の帳簿を電子化したい場合は、作成方法から見直す必要があります。

手書きの帳簿は対象外

電子帳簿等保存の対象は、最初からパソコン等で一貫して作成した帳簿に限られます。手書きの帳簿をスキャンしても電子帳簿にはならないため、電子化したい場合は会計ソフトでの作成に切り替えましょう。

重要書類と一般書類

スキャナ保存では、国税関係書類をさらに2つに分けます。契約書・納品書・請求書・領収書のようにお金や物の流れに直結する書類が「重要書類」、見積書・注文書・検収書のように直結しない書類が「一般書類」です。一般書類は、グレースケールでの読み取りが認められるなど要件が緩やかです。

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どちらを電子化する場合も、それぞれに決められた保存要件を満たす必要があります。

電磁的記録と電磁的方式とは

電磁的記録として保存されるデータ

電子帳簿保存法の条文や国税庁の資料には、「電磁的記録」と「電磁的方式」という言葉がよく出てきます。似ていますが、指しているものが違います。

電磁的記録

電子的な方式などで作られ、コンピュータで処理されるデータそのものです。会計ソフトの仕訳データ、PDF化した領収書、CSV形式の売上データなどが該当します。

電磁的方式

電子的にデータをやりとりする方法のことです。電子帳簿保存法では「取引情報の授受を電磁的方式により行う取引」を電子取引と定義しています。メール、Webサイトからのダウンロード、EDI、クラウドサービスなどがこれにあたります。

つまり、電磁的方式でやりとりした取引の電磁的記録が、電子取引データとして保存が必要なもの、と整理できます。

スキャナ保存

領収書をスキャナで読み取る様子

紙で受け取った書類を電子化して保存するのが「スキャナ保存」です。スキャナだけでなく、スマホやデジカメでの撮影も認められています。主なルールは次のとおりです。

ルール内容
入力期間受領後おおむね7営業日以内、または業務処理サイクル(最長2か月)経過後おおむね7営業日以内
解像度・階調200dpi相当以上、原則カラー(24ビット)。一般書類はグレースケールも可
改ざん防止タイムスタンプの付与、または訂正削除の履歴が残るシステムの利用
検索日付・金額・取引先で検索できること
見読14インチ以上のカラーディスプレイ・カラープリンタ等の備付け

出典:国税庁「はじめませんか、書類のスキャナ保存」

2024年1月以降は、読み取ったときの解像度・階調・大きさの情報の保存や、入力者等の情報の確認は不要になりました。ただし、200dpi以上・カラーで読み取るルール自体は変わっていません。

スキャナ保存でよくあるミス

  • 受け取った書類を溜め込み、入力期間を過ぎてからまとめてスキャンする
  • 白黒で読み取ってしまい、重要書類の要件を満たさない
  • ファイル名がバラバラで、日付・金額・取引先で検索できない

タイムスタンプとは

時刻を証明するタイムスタンプのイメージ

タイムスタンプは、電子データがある時刻に存在し、その後改ざんされていないことを証明する仕組みです。スキャナ保存や電子取引データの改ざん防止策のひとつとして使われます。

総務大臣が認定するタイムスタンプ

電子帳簿保存法で使えるのは、総務大臣が認定する業務に係るタイムスタンプです。一般的には、タイムスタンプ事業者のサービスを、会計ソフトや文書管理システムを通じて利用します。

付与のタイミング

スキャナ保存では、先ほどの入力期間内にタイムスタンプを付ける必要があります。スキャン直後に自動で付与する設定にしておくと、付け忘れを防げます。

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スキャンする日を「毎週金曜」のように決めておくと、入力期間の管理がぐっと楽になりますよ。

タイムスタンプが不要になるケース

訂正・削除の履歴が残るシステム(または訂正・削除ができないシステム)で保存し、入力期間内に保存したことが確認できる場合は、タイムスタンプの付与に代えることができます。クラウドの会計ソフトや経費精算システムでは、この方法で対応しているものも多くあります。

システム選びで確認したいこと

導入を検討している会計ソフトや経費精算システムが、訂正・削除の履歴を残す仕様かどうかを確認しましょう。対応していれば、タイムスタンプを別途契約する必要がない場合もあります。

電子取引データの保存要件

メールで受け取ったPDFの請求書

メールで受け取ったPDFの請求書や、Webからダウンロードした領収書、受注システムのCSVデータなどは、電子取引データとして電子のまま保存する必要があります。

  • 真実性:タイムスタンプ、訂正削除の履歴が残るシステム、事務処理規程のいずれかで改ざんを防ぐ
  • 可視性:ディスプレイ等を備え付け、日付・金額・取引先で検索できるようにする

基準期間の売上高が5,000万円以下の会社などは、税務調査でデータのダウンロードの求めに応じられれば検索要件は不要です。また、相当の理由があり、ダウンロードの求めと出力書面の提示・提出に応じられる場合の猶予措置も設けられています。

最近の改正で出てきた用語

  • 優良な電子帳簿:訂正削除の履歴などの要件を満たす電子帳簿。届出をすると過少申告加算税が5%軽減される
  • デジタルシームレス保存:請求書等の電子取引データを自動で保存し、帳簿に自動連携する仕組み。令和7年度税制改正で新設され、令和9年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について重加算税の10%加重の適用除外となる

出典:国税庁「電子帳簿等保存制度を活用して、デジタル化をさらに進めてみませんか?」(令和8年6月)

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優良な電子帳簿は任意の制度なので、まずは自社の会計ソフトが要件に対応しているかを確認するところから始めるとよいでしょう。

IT部門と話すときに混同しやすい用語

システムを導入するときは、経理とIT部門やベンダーで同じ言葉を違う意味で使っていることがあります。タイムスタンプと電子署名(時刻の証明か、作成者の証明か)、訂正削除履歴とバックアップ(変更の記録か、データの複製か)は特に混同しやすいので、打ち合わせでは「何を証明したいのか」を言葉にして確認すると話がかみ合います。

関連記事:JIIMA認証とは?電子帳簿保存法対応ソフトの種類と選び方を解説

まとめ

今回は、電子帳簿保存法で押さえておきたい用語について解説しました。最低でも次のキーワードを理解しておくと、制度の資料が読みやすくなります。

  • 電子帳簿保存法と3つの保存区分
  • 国税関係帳簿・国税関係書類(重要書類・一般書類)
  • 電磁的記録・電磁的方式
  • スキャナ保存とタイムスタンプ
  • 電子取引データの保存要件と優良な電子帳簿

紙から電子への切り替えは、書類の保管コストを減らし、探す時間を短くしてくれます。用語を押さえたら、次は自社のシステム要件や運用マニュアルの整備に進みましょう。

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用語がわかれば、あとは自社の書類の流れに当てはめていくだけです。一つずつ確認しながら進めていきましょう。

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